おやすみノート

寝具店スタッフのわたなべと
みやしたによる日誌

石田屋の豊かな世界に触れた後の呟き

2023.3.31

石田屋の100周年を記念する本を、代官山で行われた体験会のときにいただきました。

1923年に製綿業から創業した石田屋は、様々の変化を経て今年で100周年を迎えました。欧州における品質と安全性の高い羽毛布団をいち早く取り入れ、現地へ実際に足を運び審美眼を磨きながらの仕入れスタイルで、石田屋ならではの商品を手がけています。


この本は石田屋で扱っている寝具のふるさとを実際に訪ねてまとめたもの。アイスランドから始まり、オーストリア、フランス中部の街リモージュ、福島県奥会津の三島町と、旅程と同様にページが流れていきます。





風景写真からはその土地の空気が伝わり、他にも、つくり手たちの顔が本当に実際にお会いしたかのように知ることができる本なのですが、この方はディーラーさんっぽいなあとか、農家の方はこういう感じの人なんだ、と勝手な想像を膨らませながら北半球にある遠い国々の人が身近に感じられるものでした。

食べた料理が途中で登場したり、衣食住に関心があるのも石田屋らしく思いました


その中でこんな言葉をみつけました。

「最新の機械を入れて大量生産することもできるけれど、納得のいくものだけを届けたい。本当に良いものは決して早くは作れないことを僕らは知っている。だから、自分の目の届く範囲でこれまで通り丁寧な仕事を続けることが大切なんだ」

これは馬毛製品をつくるムースブルガー社の方の言葉。月の満ち欠けなど自然のリズムに沿った工程を取り入れ、馬毛の加工から仕立てまでを一貫して行う稀有なメーカーです。

本当に良いものは決して早くはつくれないって誰かに言ってもらえると(さらに言えば活字で印刷されていると)、手仕事に対する自分の愛が湧き出るからかなんだかとても嬉しくなりました。

あと、もう一つ。石田屋がアイダーダッグのふるさとであるアイスランドを訪ねた時の回想としてこんなテキストが。

「遥か1000年以上も前から鳥と人が共生してきた国、アイスランド。最上級のアイスランドのアイダーダッグダウンは目をつむって手のひらにのせると、のせられたことが全くわからないほど軽量で、瞬く間に暖かさが伝わります。

私たちはこの島での経験を通して、大自然の恵みに包まれる極上の眠りを皆さまにお届けできる喜びと誇りを新たにしました。鳥たちにより添い、手仕事と共にある暮らしは豊かで、こんな夕暮れのように美しかったです」



石田屋の「喜びを共有したい」という気持ちに触れて
思い出したことがありました。それは以前に観た動画の一コマで、批評家の東浩紀さんが「情報化社会が進む中、便利さだけが僕たちの求めるものじゃないよね。タイパ(タイムパフォーマンス)なんて考えたら違うよね。どうすれば喜びを分かち合えるのか? 」と投げかけているものでした。

喜びを分かち合いたい、確かにそれを生活で求めているんだ!と思っていたので、石田屋の喜びを共有したいという気持ちに静かに感動したのです。

何かを伝えたくても生で体験したそれにまさるのは難しく、伝えようとしても半減してしまうものですが、伝えるためになにか試行錯誤をする。この本を通じて私が感じるもの以上の豊かな感情を、石田屋が抱いておられるのだと思うと、ふだんから感じている計り知れない熱量に深く納得できました。

スタッフみやした


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あまり話題に出さないけれど、ふたりとも山下達郎のファン

スタッフ紹介

  • わたなべ
    リネン愛好歴7年。オンラインでの買い物が好き。寝具にこだわりがあるが、眠る時間を削ってでも映画やドラマをみたい
  • みやした
    リネン愛好歴2年。体験欲が強めだが、これから買うものは一生使いたいと思っている。寝る前にスマホを使わないことが当面の目標

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