料理の形跡を美しく刻む、無垢のまな板
兵庫県姫路市を拠点にする「枯白」は、暮らしの中で欲しいと思ったものを自分たちの手でつくりあげます。無垢の丸まな板はカッティングボードとしてだけでなく、トレイやプレートにだってなってくれる。使えば使うほど愛おしい痕跡を残します。
■丸いかたちって実は便利です
まな板といえば四角いかたちをイメージしますが、枯白のまな板はきれいなまんまる。
つくり手である乾喬彰さんも最初につくったのは四角でしたが、ご自身が丸い酵母パンを焼くことから「大きな丸いまな板が欲しい」と思ったのだそうです。
そんなきっかけで誕生した丸まな板ですが、これがなかなか便利。
丸なら狭い場所でも奥行きがとれるので、切ったものを置いておけるし、くるりと回して別のものを切ることもできます。
洗う時も取り回しがよくて、回転させながらささっと洗えてしまう。「工房の小さなキッチンでも使いやすい」そうで、パンだけでなく、野菜や果物などを切ったりと日々活躍しているそうです。
■とんとんとん…の証が味わい深く
こちらの「2枚はぎ」は、約14cm幅の板2枚を接ぎ合わせたもの。中央ではぎ合わせているのですが、そう教えてもらわなければ1枚の板のように自然です。
木はチェリーとウォールナットの2種類です。明るい茶色のチェリーは、使っていくうちに色が濃くなります。
製材した際、稀に現れる木目の模様、杢(もく)。杢の入ったまな板は、希少価値が高く、より味わいのある表情を楽しめます。▲チェリー(杢)
一方上品な濃い茶色のウォールナットは、木ならではの素材感が出てくるそうです。
▲ウォールナット
とてもきれいな木目なので刃跡で傷つけたくない気もしますが、むしろどんどん使ったほうがいい雰囲気に。
包丁の傷や調理中についた染みも味わいとして残るので、ぜひ日常的に使うのがおすすめ。カッティングボードとしてだけでなく、トレイやプレートにだってなってくれます。
■木の道具とのお付き合いについて
お手入れについて聞くと「経年変化する素材は、その変化を愉しんでいただければと思っています。基本的に はそのままで問題ありませんが、気になるようでしたらメンテナンスを施してみてください」とのことでした。
なので使っているうちに気になったら、以下のお手入れをお試しください。
まずは木の部分。色味が薄くなったりツヤがなくなってきたと感じたら、細かめのサンドペーパー(400番くらい)で磨いて表面を整えた後、木工用オイルか植物性オイル(荏胡麻油や亜麻仁油など)を塗って乾拭きするとよいそうです。
真鍮部分は、くすみや汚れが気になったら市販の金属磨き剤を布に含ませ磨いてあげてください。
枯白の木工作品は素材感が活きるようにつくられているので、木はまな板になった後も呼吸をし生きつづけます。そのため、いくつかご注意を。
濡れたままで放置しないこと。食洗機や乾燥機は使わないこと。そして、エアコンが直接当たるなど乾燥する場所、逆に湿気の多い場所には置かないこと。
こういったことに気をつけてあげると、ひび割れや反りの予防になるそうです。
■時と人の手によって増す、美しさ
乾喬彰さん、直実さんからなる枯白は、かつて綿織工場だった跡地に建つ工房でスタッフとともにものづくりをしています。
▲兵庫県姫路市にある工房
人やものが練れて深みが増し、円熟した味わいが生じる。そんな意味をもつ「枯」。そして、新しさやものごとがはじまる原点のような新鮮さを意味する「白」。
木や鉄、真鍮など素材それぞれの美しさを大切につくられた枯白の作品は、
まさに使われることによって趣を増し美しく育ちます。
写真提供:枯白(2枚目、13枚目、14枚目、15枚目)
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SHOPPING MEMO
材質:チェリー、ウォールナット、真鍮
サイズ:φ24〜28cm×D2.3cm
※手仕事品ですのでサイズに多少の誤差はあります。ご了承ください。
※天然木を使用しているため、一点ずつ木目の表情が異なります。
※画面表示の色は、ご利用の環境により実際の色と多少異なる場合があります。