秋が深まり、心地よい静寂が感じられますね。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
今回のおやすみノートは、「あたたかく、ぐっすり眠る」でご紹介中のISHITAYAカシミヤブランケットについて、代官山での取材を経てのこばなし。……
今ではすっかり当たり前になっている関係にも、必ず「はじめての出会い」がありますよね。
物事のタイミングや出会いというとちょっとロマンチックな雰囲気が漂いますが、まったくそうじゃないものも然り。
そんなことを急に思ったのは、ISHITAYAの代表、田中さんにブランケットの制作の経緯を聞いたことからでした。
「このブランケットの本当のはじまりはね……ヨーロッパに行ったとき、私が馬柄のストールを巻いていたんです。
そしたら、展示会の会場でおじさんに声をかけられて。『君のストール、うちのところでつくってるやつだよ』って。
でも、向こうの勘違いだと思って、ちょっとおかしいなって思ったんです。だってそれ、私がスイスのサンモリッツにスキーに行ったときに買ったものだったから。
『うちのブースにちょっと入ってみて』って言われて……まあ、せっかくだしと思って話を聞いたんです。
そしたら本当にネパールでカシミヤをつくっているメーカーで、スイスで買ったあのストールもそこが手がけていたものだったんです。
で、『好きな糸で、織り方も自由に指定していい。君の希望のものをつくるから』って言われて。そこまで言うなら、一度お願いしてみようかな……と思って。それで10年以上も前につくりはじめたのが、ISHITAYAで定番になっているブランケットなんです」
ISHITAYAのことだから、きっと興味深いものづくりの話が聞けるはず(決して経済合理性では動かないのでは)と思い尋ねてみたら、田中さんによる予想だにしない物語りが始まるのです。
その方は職人ではなくて営業の方だったそうですが、やっぱりつくり手側って自分たちが手がけたものは遠くからでも分かるのですね。
現在、開催中の「あたたかく、ぐっすり眠る」では、暑がり、寒がり、ノーマルなど体質による掛け布団の選び方の記事とともにカシミヤブランケットをご紹介しています。私たちが提案するのは、はじめてですが、このオリジナルアイテムをISHITAYAがつくってからの歳月は10年以上経ちます。
田中さんは当時イタリアのトップブランドのカシミヤブランケットを扱っていたが、そういった気楽に扱えないものではなくて、カシミヤに出合ったことのない人にも使いやすい厚みと価格のものをつくりたかったと話します。
つくる喜びはこんなふうに始まる…… つくり手の話に触れて心が温まりました。
スタッフみやした